2011年5月20日 第20回
『救い主イエス・キリスト』 救い主イエス・キリスト「罪を犯した女」
ヨハネ8章1節から11節
主題 主イエスは、罪を犯した者を赦し、再び犯さないように導く
暗証聖句マヨハネ8章11節
わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。今からは決して罪を犯してはなりません。
主題の背景
新改訳聖書の欄外に「古い写本のほとんど全部が ヨハネ7:53~8:11を欠いている。この部分を含む異本の相互間の相違が大きい」とある。そういう理由で、この箇所の真正性(しんしょうせい)が論争されてきた。真正性に反対する学者は、現存する最古のギリシャ語写本に欠けていることと 文体や表現形式がヨハネの福音書の他の箇所と異なることを理由に挙げる。登場する女性の不道徳をイエスが肯定していると考える学者もいる。それに対し真正性を支持する学者は、それでも古い写本の多くがこの箇所を含み、ラテン語やペルシャ語などの写本にも書かれていること アウグスティヌスやアンブロシウスなどの権威者がこの箇所を注解したばかりか、その真正性を擁護していることなど挙げ 欠損の理由を写字生の誤りと考える。「不道徳」については、イエスが訴える者たちの要求を拒絶されただけで、姦淫(かんいん)の罪を肯定されたわけではないと説明する。
いずれにしても、この箇所が現行の聖書本文に含まれていることには正当な意義があると考えてよいでしょう。
4月から始まった「救い主イエス・キリスト」の単元も最後となった。本科はイエスを陥れ(おとしいれ)ようと謀る(はかる)律法学者やパリサイ人をイエスはどのように扱われたかを語られている。イエスの前に引き出された女性の態度と、救われた後の生活にイエスが関心を持ち、励ましてくださる点に注目
律法学者らはイエスに「姦淫(かんいん)の現場でとらえられた女」を裁かせようとした。イエスを罠(わな)にはめて告発するため。女は、裁かれても仕方ないと覚悟している
1、 律法学者はイエスに「悪魔の選択」を突きつけた
この女をどう処分するか?もし「女を赦せ」というなら、モーセの律法に違反することになります。しかし、律法通りに「石打ちだ」=死刑と言えば、イエスが説く愛の教えに反することになります。いずれを選んでも窮地におちいるようにしかけられたわなでした。これを「悪魔の選択」といいます。律法学者らは何度も「悪魔の選択」をイエスにつきつけました。(カイザル皇帝に税金を納めるべきか?マタイ22:17~22)イエスはどう応じられたのでしょうか?
2、イエスは「神の選択」で応じられた
イエスが彼らに答えられたのはただ一言「罪のないものが、最初に彼女に石を投げなさい」(参照申命記17:2~7)イエスは彼らの魂胆(こんたん)と隠れた罪をご存知でした。しかしそれを暴かず(あばかず)彼らに自分で自分をさばくように仕向けられたのです。人の罪を情け容赦なく告発する者は、しばしば同じ罪を内に隠しているものです。そのやましさから残酷になるかもしれません。彼らは、女をイエス告発の道具として使うだけで、同じ罪びとに対するあわれみのかけらもありませんでした。
イエスの「罪のない者が、最初に・・・」ということばは、律法学者らを聖なる神の前に立たせました。もし石を投げたなら、その者は神の前に恐ろしい罪を重ねることになります。つまり、石をなげないという選択しかないのです。律法学者らは年長者から順に去っていきました。
3.「わたしもあなたを罪に定めない」と言われる
彼らが去って、残ったのはイエスと女だけでした。女は逃げずに、イエスのさばきを待って「そのままそこにいた」のだと思います。しかし主は女を罪に定めませんでした。「わたしもあなたを罪に定めない」とのことばは、罪深さと恥ずかしさにおののく女性に対する赦しの宣言です。女性を去らせるときイエスは「今からは決して罪を犯してはなりません」と言われました。悔い改めの真実を認めたうえで、その決意が継続するように励まし、新しく生まれたものにふさわしく生きるように厳しく戒め(いましめ)られたのです。
主が来られたのは「義人を招くためではなく、罪人を招くため」(マタイ9:13)だからです。とはいえ、姦淫(かんいん)は死に値する罪です。後年、女はイエスが十字架にかけられたことを聞いたとき、「あなたを罪に定めない」ということばに、主の命の重みがあったことを知り、心ふるえたことでしょう。
ある日、女は一人の男に声をかけられます。「お前はあの時の女だな」「あっ、あなたはあの時のパリサイ人ね。でも、もう私はあの時の女ではありません。あの私は死にました。今は、新しい私が生きています」そんな場面を想像します・・・・
申命記17章2節~7節
17:2 あなたの神、主があなたに与えようとしておられる町囲みのどれでも、その中で、男であれ、女であれ、あなたの神、主の目の前に悪を行ない、主の契約を破り、
17:3 行ってほかの神々に仕え、また、日や月や天の万象など、私が命じもしなかったものを拝む者があり、
17:4 それがあなたに告げられて、あなたが聞いたなら、あなたはよく調査しなさい。もし、そのことが事実で、確かであり、この忌みきらうべきことがイスラエルのうちに行なわれたのなら、
17:5 あなたは、この悪事を行なった男または女を町の広場に連れ出し、男でも女でも、彼らを石で打ちなさい。彼らは死ななければならない。
17:6 ふたりの証人または三人の証人の証言によって、死刑に処さなければならない。ひとりの証言で死刑にしてはならない。
17:7 死刑に処するには、まず証人たちが手を下し、ついで、民がみな、手を下さなければならない。こうしてあなたがたのうちから悪を除き去りなさい。{死刑にするにはまず証人たちが石を投げ 次いで民が皆で石を投げる}
レビ20章10節
20:10 人がもし、他人の妻と姦通するなら、すなわちその隣人の妻と姦通するなら、姦通した男も女も必ず殺されなければならない。
*「婦人よ」ヨハネ8:10(2:4 19:26参照)
優しさのこもった呼びかけ。その呼びかけに対し女性の答えは「主よ」があり、イエスに対する信頼が表れています。

